
この記事は外資戦略コンサルで働く方に寄稿していただきました。日常の仕事やコンサル業界への転職の参考になれば幸いです。
コンサルタントがどのように日々自分の能力に磨きをかけているのかを知りたいという方もおられるようです。
コンサルタントだから特別変わったことをしている、またはしなければならないという事はないのですが、ここでは一般的なコンサルタントのスキルアップ方法についてご紹介します。
コンサルタントのスキルアップ法は3通り
一般的な会社同様に、コンサルタントのスキルアップ方法には、OJT、研修、自己学習の3通りがあります。
一番重きが置かれているのはやはりOJTですが、研修もかなり充実しています。基本的にファームは基礎力の高い人材を採用しますが、基礎力は必ずしもコンサルティング能力とは直結しません。トレーニングすれば伸びると判断して採用しますので、採用した人のコンサルティング能力を高めることはファームの責務となります。
個々人に任された研修活用
どこのファームも同じというわけではないでしょうが、研修には全員が受けるものと、選択して受けられるもの、そして個別に受けなければならないものがあります。全員が受けるものとしては、例えば基本的な分析手法であったり資料作成の方法、プレゼンテーションスキルなどがあります。選択して受けられるものは、例えばリサーチツールの使い方のように、無くともなんとかなるがあると効率良いようなものが多くあります。また、同好会のような感じでより良いコンサルタントになるために先輩が教える、または教え合うような場も、選択オプショ
ンとしてある場合もあります。こちらはオフィシャルに用意が無いとしても、自己学習の手法のひとつとしてご自身で企画することが可能でしょう。それから、これはファームによりけりではありますが、個々人のスキル評価に基づいて、不足スキルを補うための補講のような研修を受けることもあります。特に英語スキルのように人によって出来る出来ないが明確に分かれるようなものは、この形式であることが多いように思います。
研修よりもOJT
しかし、どれほど研修が充実していたとしてもやはりOJTには劣ると考えておいたほうがよいでしょう。トレーニングの質という意味では研修もOJTも現役コンサルタントが教える側に回ることが多いですが、研修とOJTで最も異なるのはトレーニングを受ける側の姿勢です。研修は研修ですから、仮にうまく成果に繋がっても出来なくても本人以外に影響はありません。一方のOJTはクライアントを相手に価値ある成果を出さなければならない前提で事が進みますので、どうしても真剣にならざるを得ません。当然、OJTを受ける側もそうですが、OJTを提供する側、つまり先輩コンサルタントや上司も真剣です。このため時には厳しい指導になる事もありますが、その指導を受け入れられる、また自分の能力向上に繋げられるような人でなければ、折角のトレーニング機会を失ってしまう事になりますので、その点は肝に銘じておくようにしてください。
成長の目的は何なのか?
研修とOJTだけでもある程度の能力向上は期待できますが、言ってしまえばこれは「周囲が期待する」水準になることが目的です。ですからこの他に「自分が期待する」または「周囲の期待を上回る」水準に持って行くための努力が必要です。そこで最後のスキルアップ方法である自己学習が出てくるのですが、この方法はそれこそ人によってバラバラですから一言ではご説明できません。例えば、忙しいとついつい業務とは無関係な情報収集がおろそかになりがちですが、コンサルタントというのはクライアントと話をするのが仕事です。時間が無い、興味が無いというのもわかりますが、ちょっとした通勤時間の合間に新聞雑誌を読むだけでも、クライアントと仲良くなれるかもしれません。毎日一言でもブログを書いて表現力に磨きをかけるというのも良いでしょうし、嘘か本当かキャバクラに通って話術を盗むと言っていたコンサルタントもいた程です。ただ言えることは、コンサルタントという時間的な拘束が大きい職に就きながらも、自己研鑽を惜しまない姿勢が大切だという事です。
常に自分の現在の能力と、周囲の期待する水準、そして自分が達したい水準の3つを意識し、それぞれに適したトレーニング手法で訓練を積むようにしてください。