
就職活動が始まると「インターンシップ」という言葉を耳にすると思います。
「インターンシップ」とは、一言で言えば就業体験です。実際に入社する前に仕事を体験して、働くことを疑似体験します。それによって自分の適性や仕事とはそもそもどういうことかを感じ取ることができます。実際にはもう少し種類を細分化できるのですが、それは別の所でお伝えできればと思います。
今回は、そもそもインターンシップに参加する必要があるのか否か、根本的なところから考えていきたいと思います。
「参加すべき人」と「参加しなくても良い人」の違いは?
結論、インターンシップは「参加すべき人」と「参加しなくても良い人」に分かれます。
まずはその違いを簡単に押さえておきたいと思います。
インターンシップに参加しなくても良い人
既にやりたいことに取り組んでいる学生
インターンシップは「就業体験」です。つまり「仕事がどんなものかを体験する場」です。逆に言えば、現在そうした体験をしている学生は無理にインターンシップに参加する必要はありません。将来自分の携わりたい仕事がどのようなものか、現在の経験を通じて知ることが就職活動においてもプラスに働くでしょう。
他にやりたいことがあって時間がない学生
就業的な体験以外でも、何か他にどうしても取り組みたいことがある学生も無理に参加する必要はありません。たとえばサークル活動や学業などをどうしても優先したいというケースです。その場合も、そちらの活動を優先しましょう。その活動が今後、就職活動の中でアピールできるエピソードとなります。
インターンシップは「採用直結型」のものを除いて、大半が就業体験や社内見学のようなものが多いです。そして、その参加者も限られています。つまり、例年内定を獲得する学生のうち、インターンシップ参加者はごく一部です。
参加はイコール内定ではありませんし、選考上劇的に有利になったりもしません(別の所でお伝えしますが、企業側も実施する以上、優秀な学生には目を付けています)
もちろん「参加すべきでない」というわけではありません。インターンシップにも様々な種類があり、いわゆる会社説明会に近い業界研究のセミナー形式のものや、1〜3日間で会社の仕事を体験できるもの(学生時代の社会科見学や職場体験に近いでしょうか)もあります。そうした短期のインターンシップを色々経験して、様々な業界の違いを把握しておくのも良いでしょう。
業界同士の違いが分かれば、それだけ本選考時の志望理由も強固なものとすることができます。
インターンシップに参加すべき人
次に「参加すべき人」ですが、こちらには以下のような学生が該当します。
実質インターンシップしか採用枠がない企業を志望する学生
大抵の場合、インターンシップは「本選考には直結しない」と銘打たれています。ですが、中にはインターンシップが(実質)採用直結の企業もあります。外資金融系の企業や、国内でも「問題解決能力発掘インターンシップ」で有名になったワークスアプリケーションズなど、多くの企業が実際にインターンシップから学生を採用しています。
こうしたインターンシップからの採用枠を狙う場合、当然ですが参加しなければ選考の俎上にすら乗れません(別に通常の選考があれば、そちらを目指すのも良いでしょう)
就職活動を行う友人が少ない学生
少し露骨な書き方ですが、サークルなどに入っていない学生や、学科の友人の大半が大学院進学志望などの場合、周りに就職活動を行う友人がほぼ0というケースもあるかと思います。筆者は哲学科という少し特殊な学科だったこともあってか、学科で就職活動を行った友人は皆無でした。そのため情報交換はサークルや就職活動を通じて知り合った友人と行っていました。
就職活動は情報が命です。大量にある企業の中から少しでも自分に合った会社を見つけるためには、より多くの企業を見ていかなければなりません。ですが、一人の力では限界があります。そのため、自分とは目指す業界の違う友人の話などは非常に有益です。一つの業界でも学生の数だけ魅力や欠点が見えてきます。そうした情報を交換できる就職活動の仲間をつくっておく意味でも、インターンシップは有益です。
インターンシップには、積極的に就職活動に取り組んでいる学生たちが集まりやすいです。就職情報サイトがオープンされる前から精力的に情報を集めたり、サークルや学業などでも平均的な学生よりも前のめりな人たちです。そのため行動範囲が広く情報に対する感度も高いので、交換できる情報の質・量ともに有益なものが多いです。
ただ、一点ご注意頂きたいのは、友人作りを第一義の目的に参加するのは違うということです。インターンシップは、あくまでも「就業体験」です。そこだけは履き違えないようにしましょう。
スタートアップ企業を目指している学生
スタートアップ企業と大手企業の実施するインターンシップには一つ、明確な違いがあります。それは「実践的な仕事」を任されることが多いということです。
人手も資金力も大手に比べて乏しいスタートアップ企業は、インターンシップを実施する余裕がありません。それでも募集する企業には、主に2つの目的があります。1つは純粋に労働力として期待していること(人手が足りないから、働いてくれる人が欲しい。つまりアルバイトのようなものです)、もう1つは優秀な学生をピンポイントに採用したいということです(採用費の抑制、工数の削減、ミスマッチの低減などの理由からです)。長期間のインターンシップを通して仕事を理解してもらいつつ、学生を囲いこむことが狙いです。
そのため、ベンチャー企業のインターンシップでは、大手企業のそれよりも実践的な仕事を体験できます。会社で働く日常をほぼ完全に体験できるので、自身の適性もより細かく知ることができます。それは最終的に別のベンチャー企業に入社した場合でも、非常に有益な経験です。「ベンチャー」という厳しい環境を知っておくことは、ベンチャー志望者には必須と言っても良いでしょう。
少し余談ですが、筆者も最初は社員10人程度のベンチャー企業に就職しました。研修などは勿論なく、とにかく自ら手探りで色々なことをこなす必要がありました。営業職採用でしたが、営業以外の事務仕事や会社の掃除、上司の社用携帯の手配やお茶出し、朝晩のゴミ捨てなどまでやりました。入社初月にいきなり残業時間が200時間を超えて驚いたのを覚えています(体重も一気に7キロ減りました)。
勿論これは一例に過ぎませんが、スタートアップ企業は大手と比べて一人にかかる負担が(肉体的にも精神的にも)比べ物になりません。そのため事前にインターンシップの中でそのリアルを肌で知っておくことをオススメします。
アルバイト経験のない学生
たまにアルバイト経験のない学生がいます。選考を通過する上で、アルバイト経験が必須ということはありませんが、経験しておくことでプラスに働く面もあります。
何よりも「働く」ことを実体験する中で、自分に向いていること/向いていないことが見えてくるので、就職活動におけるミスマッチを少しでも減らすことができます。多くのアルバイトを経験すればするほど、より自分に合った仕事も明確になるでしょう。
アルバイト経験がない場合、そもそも「働くとはどういうことか?」「働く中で苦労することとは?」といった仕事のリアルが掴めません。そうした「リアルな情報」が少しでもないと、会社説明会やOB・OG訪問で社員に話を訊く「きっかけ」が持てないことが多いです。つまり説明会などで「そもそも社員に何を質問すれば良いのか分からない・・・」という事態に陥ってしまいます。
短期間のセミナー型のインターンシップは、企業側が分かりやすくポイントだけ説明してくれるので、業界や仕事の概略を掴む上では非常に有益です。過去にアルバイトなどで就業経験がない学生は、インターンシップを十分活用しましょう。またアルバイト代わりに就業体験型のインターンシップを体験するのも一つの手です。もちろんアルバイト以上に仕事の深い部分に携わるので、学業やサークルなどとの両立は結構厳しいですが。

インターンシップは、あくまでも「就業体験」ですので、まず「自分は就業体験をする必要があるのかどうか」という点から参加するか決定しましょう。そして参加に際しては、きちんと「なぜ参加するのか?」という目的を押さえておくことが必要です。インターンシップの種類と目的別の活用方法などについては、また別の所でお伝えできればと思います。