
この記事は元理系大学院生の学生さんに寄稿していただきました。これからインターンシップを控えている方の参考になれば幸いです。
今回は、私が経験したインターンシップのうちの一つを体験談としてお伝えします。なお、インターンシップには全て守秘義務が課せられているので、具体的な詳細については触れません。ちなみに、私は国立大学の現役理系大学院生で、これまで3社のインターンに参加した経験があります。
参加したインターンシップの経緯・概要
インターンシップに参加していたのは、大学院修士1年生の夏休みです。就職活動がいよいよ身近に迫る中、研究活動の専門を生かしたインターンに参加したいと考えて、プログラミングを用いた開発系のインターンにいくつか応募しました。一社目からお祈りをいただき、三社目のインターン用の提出書類を準備している間に二社目から合格の電話をいただきました。
審査は、書類審査⇒一次面接⇒二次面接という形で行われました。特に外資系ということもあり二次面接では英語面接があり非常に緊張しましたが、どうにかクリアできました。
インターン期間中は社員と同様にデスクとPCを与えられ、ほとんどフルタイムでの参加となりました。イベントも開催され、多くの社員の方と関わることができたのは非常によい経験でした。また、私が担当した機能が最終的に実際の製品版に反映され、非常にやりがいの多いインターンでした。
インターンシップの内容
社員とほぼ同じ立場で業務を行いました。社員の方が本当に忙しくて手が回っていない部分の仕事を与えられたため、仕事の進め方もかなり手探りの状態でした。市場分析から新機能の企画・設計、実装まで担当させていただきました。また、社員の方に協力していただけるよう、こちらからミーティングをお願いすることも日常的にありました。
他にもインターン期間中は、インターン生向けにイベントが用意されていたり、トップクラスの方とお会いする機会が設けられていたりと、素晴らしいインターンだったと感じています。
インターンで何が学べたか
まず非常に大きな点として、実際の製品を作るまでの工程を体験できたことが挙げられます。製品の品質を担保するための努力や工夫を見られたこと、これは本当に勉強になりました。
いわゆるソフトウェア開発において、どこに気をつけてどんな開発工程を経て、誰がミーティングに参加し、納期やリスクなどを考えながら、どこまでの機能を実装するのか?こういった仕事の進め方に関する情報はもう完全に社外秘でしょうし、プロの仕事の流儀に触れられたことは貴重な財産となっています。他にも、社内での情報共有の方法や情報の活用の仕方など、実践的なノウハウが数多く学べました。
『プロの仕事の流儀』という表現を使いましたが、これはメンター(面倒を見てくれる人)や上司との話、実業務の中でも肌で感じることができました。特に自分にとって新鮮だったのは、優先順位の考え方です。
全ての仕事には優先順位がありますが、他の人が決めてくれるわけではないため、自ら決定しなければなりません。それも、他人を説得できるロジカルな形で。加えて、いくつもプロジェクトを抱えていれば、それらが複雑に絡み合うわけです。さらに言えば、優先順位をつけるのに割く時間もそんなにありません。
決められた時間の中で成果を出しながらタスクを処理していくにはどうしたらよいか?そんな高度なレベルの話に接する機会は初めてでしたが、業務を通して少しは考え方を身につけられたように思います。この優先順位の話を含め、多くの点で勉強になりました。 加えて、自分の将来像のモデルになるような方が数多くいました。
誰もが本当に仕事が早く、頭の回転が相当に良く、温和で尊敬できる。その上仕事ばかりでなく家族も大切にしているというパーフェクトぶり。これまでの人生の中でも相当に優秀な方々にお会いしてきましたが、その更に上を行くような方が多く、仕事面のみならず生活面でも驚きの連続でした。自分が社会人になってからどんな人生を送りたいか、そのモデルケースをいくつも得ることができたので、そういった点でも学びは多かったです。
いくつかのインターンに参加することで見えること
インターンを多くこなすことにどんな意味があるのか、自分の中でまとめてみると、業務の進め方の違いが見えること、社風の違いがイメージできること、組織運営の方法が見えてくることの三点だと思います。
まず業務の進め方に関して、その会社で大事にされる価値観は自然と仕事の進め方に反映される部分があります。例えば『量より質』という価値観の場合、プログラミングを用いた開発であれば、実装する機能の総数を制限してテストの回数や細かさが厳重にチェックされるなどが考えられます。似た業界でインターンを経験すれば、それらの比較からそういった仕事の進め方の違いを感じられると思います。
社風については、上司と部下の関わり方や話し方などから明確に感じ取れます。他には、同僚のことをどれくらい知っているか、土日は何をしているか、なども参考になります。
組織運営については、私の場合スタートアップと大手の二社での経験を比較して、社員の数が多い場合と少ない場合ではどんな方法で情報共有をするのか、どのように社員の働きぶりを評価するのか、といった事柄についての理解が深まりました。
これらの理解から、自分が入りたい会社のイメージが具体的になり、またそのような会社はどんな人間を必要としているかという予想もある程度可能になるのではないでしょうか。私の場合は、会社選びのみならず、人生の点でも本当に参考になりました。
私見ですが、会社選びとはつまり、自分の人生をどんな風に過ごしたいかだと思っています。少なくとも数年間は人生の多くをそこで過ごすわけですし。そのモデルケースや判断材料がたくさん転がっているのが、インターンシップの醍醐味だと思います。