
海外企業といっても、企業によって、また職種によって様々な条件がありますが、主な注意点や日本企業との相違点を内定時・就職後に分けて、説明したいと思います。
内定が決まったら
内定がおりると、雇用契約書などを含めたJob Offerの書類を受けとります。ここで浮かれるのはまだ早く、この書類を必ず熟読するようにして下さい。「日本企業と海外企業の採用の違い」で記載しましたが、海外企業では給与以外にも一部の費用負担や一部自宅勤務など様々な方法で、雇用条件を交渉することができます。その交渉した条件が契約書に記載されているかどうかを確認することが重要となります。たとえ口頭で合意をしたとしても、書面に記されていなければ、その条件は有効とならないため、注意が必要です。
特にお金を稼ぐために働くのですから、報酬の項目は最重要です。 海外企業では通常月収ではなく、年収での交渉となりますが、企業が負担すると合意した電話代やプライベート保険代などの費用や、査定や会社の財務状況によって変更となるボーナスが年収に上乗せなのか、含有されているのかを再確認した方が良いでしょう(ただし、これは内定をもらうより前の、交渉時に明確にしておく必要があります。)業界や企業によってはパッケージといって、その他の報酬や会社負担の年金などが年収に含まれている場合があるのです。パッケージではなく総額の年収(gross wage)プラスで合意したのであれば、それが正確に記載されているかどうかをサインする前に注視することが大切です。
さらにJob Offerには、通常あなたの担当する業務内容が明細に記されています。小さい企業などの場合、特に書面にされないこともありますが、可能であれば簡易でも構わないのでJob Descriptionとして記しておいた方が良いでしょう。業務範囲や担当責任を明確にすることで、担当外の責任を負わされることが無いためです。記載されている場合は、入社後もこのJob Offerに記された項目を元に、パフォーマンス・フィードバックが行われることになりますので、記載されている担当業務内容が交渉されたものかどうか、あなたの納得しているものかどうかを確認した方が良いでしょう。
就職後:試用期間、解雇・退職情報
晴れて内定を獲得し就職しても、海外企業では、最初の3ヶ月は正社員での採用であっても試用期間となります。そして試用期間内は企業側も従業員側も、通常1週間の通知で雇用を終了することができるのです。そのため企業側にスキルを認めてもらえなければ、すぐに解雇となる可能性があります。通常入社3ヶ月後、直属の上司と試用期間のパフォーマンスに対してフィードバックの場を持ち、正式に社員として起用されるかどうかが通知されます。
正式な正社員としての起用後も、企業の規模縮小や組織変更などによる解雇が頻繁に行われています。その場合、一般的には4週間分の給料が支給されますが(但し必ず支給されるわけではありません)、会社の機密事項を厳守するため出勤はその場で断ち切られることが多いようです。会社が希望退職者を募る際にパッケージといった、勤務年数に応じて最大6ヶ月程の給与手当を支給するボーナス制度もありますが、通常は日本企業と異なり、退職金制度もありません。解雇以外の退職時にも未使用の有給のみが支払われることとなりますので、注意が必要です。
就職後:社内異動
社内異動の方法も基本的には日本企業と異なっています。日本企業では辞令が下り、部署や役職が変更となりますが、海外企業では辞令はありません。
ある部署で新しく人材が必要となった際、担当部署が求人を行います。 希望する部署やマネージャー職が求人募集を行った場合、社内であってもその求人に応募する方法が一般的に取られています。つまり、やりたくない仕事を無理矢理押し付けられるということはなく、応募する本人が希望・同意した上で社内異動も行われているのです。社内応募の場合、外部からの応募に比べ審査要項が簡素化されることもありますが、面接は最低行われています。また、仕事ぶりが認められたり、普段から社内でネットワークを図っておくと、求人情報が公開される前に情報を入手できたり、推薦されたりすることもあるようです。普段からパフォーマンスの高い仕事をしていれば、社内でのキャリアアップも十分可能であると言えるでしょう。