
この記事は私が実際に商社に勤務されている方にヒアリングをおこなって作成しています。大手商社や4大商社を志望する就活生の方の参考になれば幸いです。
商社の雰囲気と聞いて、どんな感じをイメージするでしょうか?
現在の商社の仕事は国際取引、海外との折衝が多いので、国際舞台での交渉という華やかなイメージがあるのではないかと思います。
商社の仕事はプロジェクト単位で動いています。商社が中心となって、プロジェクト組織をまとめ上げて遂行していくので、情報収集力、交渉能力、チームワークが求められます。プロジェクトを作りだすのは営業部隊の仕事ですが、社内を横断して連携する場合もありますし、他の企業とも組む場合もあります。連携相手も日系企業だけではなく、海外企業の場合もあり、特に海外企業相手には一筋縄ではいかない事もあります。
そういった華やかなイメージとは反対に、実際には忍耐力と体力を要求される泥臭い仕事なのです。言葉も文化も慣習も違う人たちを相手に仕事をするわけですから、語学力はもちろんの事、簡単には諦めない精神力が必要です。文字通り、商社マンにはタフさが求められます。
商社毎の特色の違いはありますが、共通して言えるのは、前向きで熱い体育会系のような雰囲気があります。実際にスポーツマンも多く休日になると、何かしらスポーツを楽しむ人たちが多いです。そんな人たちの集まりですから、社内の雰囲気は明るく、顔を合わせると自然と話が始まります。ときおり雑談もありますが仕事についての相談やミーティングなどです。ちょっとした休憩時は相手も席を離れてリラックスしていますから、話しやすいのです。商社の強みは情報収集力とその早さですので、普段から情報共有できる環境にあると言えます。
商社は世界中にネットワーク(支店)を持っており、プロジェクト要員として社員を派遣しているので、現地からの情報が本社に集まってきます。ほんの仔細な事でもそこからビジネスチャンスを作り出していけるかどうかが鍵になる事があります。普段からアンテナを常に高く張っていなくてはなりません。
プロジェクト単位で動くので同じ部門の人たちだけではなく、社内の色々な部門の人たちとも顔見知りになるのも必然といえます。
仕事編でも取り上げていますが、商社は「モノ」を持たないかわりに、仲介取引が中心でした。近年、商社が仲介をしてきた製造業は海外業務へのノウハウが蓄積され、自らの力で海外事業展開できるようになってきた結果、商社への依存度が下がってきました。これが世間で言われていた「商社冬の時代」です。
商社は仲介取引による手数料(ブローカー)が収益になっていたので、新しいビジネススタイルに転換する必要が出てきました。また、商社の収益の柱でもある石炭や鉄鉱石やレアメタルなどの資源は、石油と同じく永遠に採れ続ける保証はありません。新興国での需要の高まりにより、いずれ枯渇すると言われています。脱資源依存が今日の各商社に課せられた課題になっており、商社自らが資金を持ち、案件に投資していく事業投資型が主流になってきています。
将来的には、世界的な人口増による食料危機や水資源の争奪戦が起きると予想されています。この事態に備えて、日本をはじめとして世界各国が来たるべき事態に備えて対策を取り始めています。この流れの中で商社としては、日本向けへの確保が大きな課題になってきており、商社は積極的な戦略が求められるようになってきています。実際に政府と共同案件であり、商社の枠を超えて、ライバル同士でも提携する案件が出てきています。
食料・水産資源の確保のため商社は、農林水産省や大学などと提携して、養殖技術の確立に力を入れています。食料資源の確保のため、諸外国は国外に農地を確保し始めていますが、日本もその1つです。この農地交渉には日本政府はもちろん商社も関わっています。交渉事は商社が得意とする分野です。こういった色々な交渉事のために、商社が築き上げてきた人脈に加え、日々、新たな人脈を築いています。 商社は「ヒト」の人材育成に力を入れており、「ヒト」を大切にする風土があります。実際に部下がミスしても失敗を責めることはなく、上司が間に立って会社側と取り持ってくれた時があります。もちろん上司の器量にもよりますが、若い時からどんどん海外に出されている分、懐が深い人が多いのかもしれません。若手社員には、自分からどんどん冒険して経験を積むのが期待されています。