
この記事は私が実際に銀行に勤務されている方にヒアリングをおこなって作成しています。銀行を志望する就活生の方の参考になれば幸いです。
証券会社で働いていると、心臓が痛くなるくらい怖い思いをする瞬間があります。お客様の資産をお預かりするという仕事柄、常に緊張を強いられるのは当然ですが思い出しただけでも心拍が上がる怖い事を2つお話したいと思います。
まず1つ目は市況の変化です。証券会社が取り扱う金融商品は元本保証ではありません。
商品によってリスクの度合いは違いますが、お客様が望むような結果が出ない場合も当然あります。例えるとお客様は卵を買いに来たのに帰って箱を開けたら卵ケーキになったりヒヨコになったり、割れていたりする事があるのです。
大きく利益を出せればお客様は当然喜ばれますが、その反対に損失を出してしまった場合、自己責任の取引とはいえ営業マンも辛い思いをします。
株価、金利、為替、ほんの小さなニュース一つで一瞬のうちに大きく変化していくものなので常に市況の変化に目を配らなければなりません。
過去日経平均が連日大きく値をさげた際、店頭の株価ボードの数字が一斉に動きストップ安まで数十分で下がりました。唖然とする暇もなく直後から鳴り止まない電話の中で売り注文と買い注文をひたすら受けた覚えがあります。
リスクがあるからこそ利益を生み出すのですが、できれば急激な変化は避けたいと思うのです。
2つ目が、証券取引等監視委員会による検査です。
ある朝出社すると会社の入り口に見知らぬスーツ着用の男性が…会社に一歩足を入れた瞬間に
「おはようございます、証券取引等監視委員会です今から持ち物の検査をします鞄の中身を見せて下さい」
デスクにいる課長の苦笑い顔を見てすべてを察知しました。ついにこの日が やってきたのか…冷めたい汗が背中を伝って初めて冷や汗って本当に冷たい汗が流れるんだと知りました。
証券取引等監視委員会とは金融庁に属する審議会の一つで証券取引や金融先物取引等の公正を確保する目的で旧大蔵省に設置された機関の事で数年に一度の割合で検査に入ります。ドラマ等で見られる金融庁の検査や国税局の査察の場面そのままで「机から離れて下さい、パソコンや書類には触れないで下さい」と言われます。
普段はお客様中心ですが、この時ばかりは検査優先で言われた書類は直ぐに 検査員に提出しなければ検査妨害と受け取られてしまいます。
検査は3日〜1週間程度続きますが初日は、個人情報保護の観点から、顧客情報を持ち帰っていないか?他人の印鑑や、金券類が机に入っていないか、個人情報は施錠できる引き出しに入っているかなどが査定されます。
証拠隠滅を防止するために女子更衣室のロッカーやトイレにまで女性検査員が同行してきます。
会議室に検査本部が設置され、仕事をしていても膨大な資料に目を通しながら附箋を貼っている姿を見ると、自分の事を調べられている気がして不安になってきます。大きなミスがあれば個人のミスであっても悪ければ、会社自体が業務停止になる事もあるからです。
お客様と電話は全て録音されており、自己責任の原則に乗っ取った正しい注文だったかどうか、リスクは正しく説明し理解させる事ができているかが2日目からモニタリングされます。
3日目には個人ヒアリングがあり、一人ずつ小部屋に呼ばれて質問をうけます。これが一番辛かったです、大音量で自分の電話の声を流されて取引内容について確認されます。堂々としていれば良いのですが,町中で警察官に呼び止められた時におどおどするような感覚です。
最終日に検査の好評を終えて検査員が帰って行った時には皆、魂が抜かれたようになっていました。
ドラマで見るとかっこいいと思われる査察の場面も検査を受ける側はバタバタで冷や汗を書きながら対応しているのです。それでも正しい勧誘をしていれば決して咎められる事はありません。違う事は違います、分からない事は確認しますと、きちんとした対応をしていれば乗り切る事ができました。 検査を乗り切った後はさらに社員同士の結束が強くなった気がしました。