
この記事は私が実際に証券会社に勤務されている方にヒアリングをおこなって作成しています。証券会社を志望する就活生の方の参考になれば幸いです。
「証券会社で働くのは辞めておけ」内定を貰った際に銀行員の父親から言われた言葉でした。「証券会社なんてリスクの高い物を大した説明もしないで契約させている」というイメージだったようです。反対を押し切って就職してしまったので辛くても辞めたいなんて言う事はできませんでした。
入社して最初に先輩から電話帳を渡されて上から順番に電話を架けて新規開拓をしろと言われました。「これは罰ゲームか?」と思いました。案の定100件かけても200件かけても全く話を聞いてもらえませんでした。少し話が出来た先には毎日継続して電話をしました。ニュースや話す事がない時には天気の話だけなんて日もありました。3ヶ月間毎日朝から夕方まで電話をかけつづけても全く契約に結びつかなくて、もう無理だと思った時に「あなたの一生懸命さが伝わりました、あなたの最初の客になります」と大きな紙袋いっぱいの株券を持って店頭に来て下さった方がいたのです。
あきらめなくて良かったと思いました。言葉にならないくらいの感動と充実感がありました。努力は必ず報われると身をもって体験したのです。それからは辛いなと思った時にも次の一人が契約してくれるかもしれない、もう一人、 もう一人と踏ん張れるようになりました。それは仕事だけではなく私生活においても我慢と忍耐力を私に授けてくれました。
一生懸命仕事をして成果がでるとどんどん仕事にのめりこんで周りを驚かせる事もありました。
例えば海外旅行に長期間出かけた際も必要ないのに毎日NHKニュースを見てしまったり帰りの飛行機で日経新聞を久しぶりに見てワクワクしたり、証券会社で働く前の自分とはすっかり変わってしまいました。国内にいると、お客様から携帯に電話が入ってゆっくりできないからと長期休暇は電波の届かない海外旅行にいくようにしていたのに、いざ毎日自由にのびのび遊んで生活してと言われると「これでいいのか?こうしている間にも株価が大暴落していないか?」と落ち着かない思いをしていました。
大学時代の友人からは、働き過ぎだとよく言われました。旅行中まで市場動向が気になるなんて耐えられないと思われると方もいると思いますがそんなに 悪い事ばかりではありませんでした。
コンパに誘われて相手の方の会社名を聞くと証券コードと株価が頭から離れなくなってしまい、配当は何%だったかな、業績はどうだったかなどその企業で勤務している社員でも知らない事が気になって仕方が無くなってしまうのです。四季報を見れば、平均年収まで記載されているのでどのくらいの給料を貰っているのか予想できるという利点もありました。
コンパでは誰よりも企業情報を知っていたので会話もはずみ上手く行く事が多かったです。実際その戦法で今のパートナーと結婚しました。
「証券会社で扱う商品にはリスクがあります」誰でも知っている事です。 リスクと聞くと悪いイメージを持たれる方が多いと思います。私はリスクは振り子のような物だと思います。右に大きく振れれば同じだけ左に振れます、力が強ければ大きく振れるし弱ければ直ぐに止まってしまいます。リスクがあるかれこそ正当な利益を生み出すと考えています。
それと同じで、証券会社で勤務してアフターファイブなんて言葉には無縁の 生活を送りましたがそれでも得られたものは大きかったと思っています。日本経済のほんの小さなちいさな一部分でも自分主導で動かす事ができている事が嬉しかったですし、こんな自分でもお客様から信頼され大事な資産をお預かりし運用のお手伝いができるという事に感動していました。
毎日戦争のように忙しかったですが仕事がマンネリ化しているだとか退屈だとか思った事はありません。同時に電話3本受けながら、来店客を対応した事もあります。無理だと思った事の大半は何とかなるのだと勉強させられました。
証券会社なんて、株なんてと私の就職を反対していた父ですが、私が毎日楽しそうに仕事をしている姿を見て興味を持ったのか、今では株に始まり投資信託、外国債券…等々何でも保有して毎日パソコンで株価とにらめっこしています。