
この記事は私が実際に銀行に勤務されている方にヒアリングをおこなって作成しています。銀行を志望する就活生の方の参考になれば幸いです。
インターネット専業の銀行が続々と誕生しています。セゾン銀行から始まり、ソニー銀行、イオン銀行、セブン銀行に楽天銀行…まさに母体がばらばらの銀行が巷にあふれています。
日本で最初に都市銀行、地方銀行、相互銀行(いまは第二地方銀行に移行)以外の銀行ができたのはセゾン銀行でした。時の大蔵大臣、宮澤喜一氏が西武グループの堤会長との昵懇の仲から生まれた結果です。セゾングループはいまだにその中核である「セゾンカード」、つまりファイナンス部門で高い収益を誇っています。若者にファッションに目覚めさせ、旅行に連れて行き、リボ払いという仕組みでお金を借りさせました。これは日本の消費活動の原動力になったのはいうまでもありません。
現在のネット銀行の人たちに会うと、それほど給料をもらっているようには見えません。実際のところ、店を構えているわけではないので、良いスーツも着ていませんし、靴もわりとへたっている人がほとんどです。つまり、コストをかけないのがネット銀行であって、顔を合わせないで入金出金、およびその管理を行なっているのですから、非常にマニアックなのはまちがいありません。
彼らに話を聞くと、必ず「為替変動」の話が出て来ます。通常の銀行業務は午後3時か4時までです。ですが、ネット銀行に門限はありません。ですから、外国為替に非常に敏感であり、その業務は24時間です。逆にいいますと、100人の行員が一つの町にいる銀行があるならば、ネット銀行は2人で済みます。ひとりは昼間。もうひとりは夜間です。為替は日本市場が閉まっている時に開いている欧州や米国の市場相手に動かしていきます。
銀行はよそ様からお金を集め、それを会社などに貸して金利差で商売をしていましたが、いまそれでやっていけるのは、地方の信用組合や信用金庫だけです。住宅ローンやガン保険や投資信託といった商品を売り、その手数料で儲けることや、デリバティブという変動リスクのある商品を自ら操っています。結局見た目のコストが非常にかかるのです。
ですが、ネット銀行は非常に規制が少ないのが面白いところです。基本的に金融機関は全て金融庁に申請した商品ややり方で商売をしています。ですから、監督官庁は金融庁です。ただ一社、農協が運営しているJAバンクは農林水産業が監督官庁であり、その内規では預金者の6か7割が農業関係者でなければならない、とされています。が、実際はそうではありません。ただ、監督官庁が違いますので、金融システムとしてはかなり異なった運営をしています。企業向けの金融機関はかなり専従にちかいので省きますが、そうした中で、ネット銀行はいかにも面白い形態だといえます。
あるネット銀行では住宅ローンを取り扱っていますが、1,000円単位で返済がATMででき、それも24時間可能です。ちょっと飲み会での会費が浮いたので返済に回そうか、と予定日以外に突然返済しても構わないのです。その残高は自分のパソコンで見る事が出来、そういうことに抵抗感のない方、あるいは積極的な人にとってはすばらしい機能をもった銀行といえます。
こういう業種は、すなわち「お金を借りる借り方」「返し方」それすらがコンテンツになるのです。当たり前だといいのになあ、という思いを直接実現に持って行けるのはネット銀行の特徴でもあります。ですから、その利用方法に関心がある人は「経験とアイデア」を常に自分の中のメモ帳に溜めておいて、自分のプレゼンテーション対策として持っておくのがよいと思います。
企業は「動きのある人」を欲しがります。それは「様々なことに関心のある人」といえます。銀行の中でも、ネット銀行は日々競争です。他行より金利を下げました、借りて下さい…これでは単なるコスト競争にしかなりません。今は新築のマンションや新築の一戸建て住宅しかローン商品は扱っていないけれど、もし中古住宅の査定方法がシステム化できれば、ネット銀行の業務は拡大するでしょう。