就職活動

【2022年版】エントリーシートの頻出質問「自己PR」攻略法

くまにぃ

エントリーシート(以下、ES)で、ほぼ漏れなく訊かれる質問に、「志望動機」「学生時代の経験」「自己PR」の3つがあります。今回はそのうち、「自己PR」についてお伝えいたします。

そもそも何をアピールすれば良いのか?

一言に自己PRと言っても、何を書けば良いのか分からないという方も多いかと思います。設問自体が「強みは何ですか?」「学生時代の経験は?」と具体的なら書きやすいですが、いきなり「自己PRをお願いします」と言われても、なかなか掴み所がありません。そこでまず「自己PR」では何を書くべきなのか、そこから見ていきましょう。

そもそも就職活動で必要なアピールは、以下の2つです。

  • 「自分は企業の戦力となれる能力があること」
  • 「自分は企業の社風、価値観に合っていること」

極論、ほぼ全てのES設問(そして面接)は、この2つを見極めるためのものです。

これをもう少し細かく見ていきましょう。
リクルートキャリアの就職みらい研究所が発表した「就職白書」によれば、企業が就活生にアピールして欲しいと考えている項目トップ5は次の通りです。

  • 人柄(89.5%)
  • 自社への熱意(77.8%)
  • 今後の可能性(70.8%)
  • 性格適性検査の結果(39.9%)
  • 能力適性検査の結果(37.1%)
    (※複数回答可のアンケート結果です)

就活生が最もアピールした「アルバイト経験」(45.1%)は22.8%の企業しか求めておらず、2番目に多かった「サークル活動」(31.8%)に至っては、実に8割以上の企業が重視していません。
逆に「今後の可能性」をアピールした就活生は、僅か8.8%でした。つまり、就活生がアピールしていることは、企業からすれば「聴きたい話ではない」という現状が明らかになりました。

ここから就活生がアピールすべきは、

「人柄」「応募先企業への熱意」「今後の可能性」

の3項目であることが分かります。(適性検査の結果はESとは無関係ですので、ここでは割愛します)

自己PRで伝えるべきは「今後の(成長の)可能性」

さて、では自己PRで何を伝えるのが良いのでしょうか。結論から先に出しますと、「今後の可能性」をアピールすることをオススメします。

先ほど、ESや面接で必要なアピールは、

  • 「自分は企業の戦力となれる能力があること」
  • 「自分は企業の社風、価値観に合っていること」

だとお伝えしました。

後者は「志望動機」がしっかり固まっていれば充分です。敢えて自己PRを費やしてまで固める必要はありません。「志望動機」は相対評価できないため、ほかの就活生との比較で評価が上下動することも少ないです。大切なのは「どれだけ素晴らしい志望動機か」ではなく「筋が通っている志望動機か」です。

よって、自己PRでは、前者「能力があること」をアピールするために費やすのが吉です。特に「今後の可能性」、より正確には「今後の成長の可能性」をアピールすることをオススメします。就活生の大半がアピールできていない、しかし企業の大半が求めている項目のため、しっかり準備しておけば、それだけ他の就活生よりも説得力あるアピールとなります。

「今後の成長の可能性」は、PDCAを回せているか否か

それでは「今後の成長の可能性」とは、具体的に何を意味するのでしょうか?これは「戦力となれる能力」を、学生レベルから社会人レベルに成長させられる可能性です。

いくら「能力があります」と言っても、それは学生レベルでの話です。大抵の場合、企業が事業を運営する上で求めるレベルには届いていません。よって、その「持っている能力」を社会人として高いレベルにまで引き上げられる可能性があるかどうか、そこが重要になります。

では、その「可能性」があることは、どうすれば示せるのでしょうか?

最も端的かつ説得的にアピールできるのは、「PDCA」を回した経験です。PDCAとは、「計画(Plan)し、実行(Do)し、反省(Check)し、次に活かす(Action)」というサイクルを意味するビジネス用語です。簡単に言えば、何か物事に取り組む時に、きちんと事前に計画し、その通りに実行し、その結果をしっかり反省し、その反省を次に活かす・・・そうしたサイクルを回しているかどうかです。

このPDCAサイクルを回した経験を伝えることが、「今後の成長の可能性」をアピールする上で最も効果的です。その理由は、成長する根拠がしっかり見えるからです。

たとえば、

ある2人の人物AさんとBさんに、ある仕事を依頼したとします。この時、Aさんは「とりあえずやってみます」と、何となく取り組みました。
対して、Bさんは「まず達成すべきことはコレだから、そのために必要なのは・・・」と、事前にやるべきことを整理してから取り組みました。

皆さんはどちらが社会では評価されると思いますか?
答えはBさんです。それは「行動の根拠がしっかりしているから」です。行動の根拠がしっかりしていれば、たとえば失敗したときでも、「あそこでああやったのがダメだった」と反省することができます。つまりPDCAが回っています。

このように反省点がしっかり分かっていれば、同じ失敗はしなくなります。つまり、また同じことを依頼した時、次は成功する可能性がより高いということです。この「次の成功の可能性がより高くなった」ことが、イコール成長です。また成功した場合も、その成功の「根拠」が分かっているので、同じことを任せれば次も同じように成功してくれるでしょう。寧ろ前回以上の成果が期待できます。

対してAさんは、たとえ成功しても、その成功に「根拠」がありません。極論、偶然運が良くて成功しただけかもしれません。そのため、次に同じことを任せても、同じように成功できるとは限りません。

このように、PDCAサイクルに準じた行動が取れていることがアピールできれば、採用担当者は「今後の成長の可能性」を感じてくれるわけです。

自己PRの書き方

それでは、自己PRの具体的な書き方について説明します。文字数は最もオーソドックスな400文字と仮定します。

  1. キャッチフレーズ(結論):25〜50文字前後
  2. キャッチフレーズを補完するエピソード:200〜250文字前後

キャッチフレーズ

基本的に「今後の能力の成長の可能性」をアピールするためですので、まずどんな能力があるのか、どんな強みがあるのか端的に伝えましょう。

キャッチフレーズを補完するエピソード

これは勿論、PDCAについて書く所です。基本的な構成としては、

  • a. どんな物事に取り組んだのか? その最終目標は何だったのか?
  • b. その目標達成に向けて、まず何が必要だと考えたのか?(Plan)
  • c. 必要なことをどう実行したのか?(Do)
  • d. 実行した結果は? 成功したならその要因は? 失敗したならその要因は?(Check)
  • e. 次に同じような取り組みを行う上で、何を気をつけたのか?(Action)
  • f. Actionの結果はどうだったのか?

です。このとき重要なのは、全ての項目について「具体的に書くこと」です。たとえば「サークルの勧誘活動」を題材にするとしましょう。
最終目標は「サークルの人員30人を2倍の60人にすること」とします。このとき、a. と b. を次のように書いたとします。

a. サークルの人員を2倍にすることを目指した
b. 去年以上の人手と準備の時間が必要だと考えた

しかし、これではあまりにも抽象的すぎます。a. に関して言えば、採用担当者が「2人を4人にしたのかな?」「具体的に何人から何人にしたのか分からないと説得力がないな」となってしまいます。b. についても、「具体的にどんな手を打ったのか知りたい」となります。
こうした「突っこみ所」のあるESは大抵の場合、通過しません。たとえば数値を明確にするなど、可能な限り具体的な表現で語るようにしましょう。

たとえば簡単な例ではありますが、以下の程度には具体的にしておきましょう。

a. サークルの人員20人を倍の40人にする
b. 従来ビラ配りのみだったが、勧誘イベントなどリアルな交流が必要だと考えた
c. イベント企画、広報活動など専任の担当を置いて準備を進めた
d. イベント参加人数は20人を超えたが、実際にサークルに入ったのは16人だった
  参加後のアフターフォロー・勧誘が足りず、ただの交流会で終わってしまった
e. イベント実施後に定期的に連絡を取ってアフターフォローに努めた
f. 2年目は29人から60人まで伸ばせた

文字数別の自己PRの書き方

ESはいつでも400文字というわけではありません。企業によっては100〜200文字、さらには「一言で」(目安25〜50文字)というケースもあります。
そこで、ここからは文字数別に、どういった構成にすれば良いのかを見ていきます。

基本は、文字数に応じて優先順位の低い項目を外して(もしくは削って)いきます。a. 〜 f. の優先順位としては、大まかに以下のような感じです。

a. > b. d. > c. e. > f.

まず前提の a. がなくては話が通じないので、必ず入れます。
次にPDCAの要である「PC」に当たる b. d. を入れます。前述の通り「成長の可能性」とは、「キチンと計画を立てて」行動し、その「反省をする」ことで同じ失敗を繰り返さない(もしくは同じ成功を必ず達成する)ことで示せるからです。
その後で、その具体的な施策(D)と、反省をどう活かしたのか(A)の c. e. を入れます。たとえば200〜300文字では、この辺りから省いていきます。
最後の f. は余裕があれば入れたいといった程度です。ただ、これがあると自分のPDCAが正しく機能していたことのアピールにもなるので、可能な限り盛りこみたいところです。

200文字以下

キャッチフレーズと「a. b. d.」
50文字以下など極端に短ければ、キャッチフレーズのみにします(私は●●を成し遂げました、等)
もし b. と d. のどちらかを抜かなければならない場合には、d. を抜きましょう。

〜400文字

キャッチフレーズと「a. 〜 e.」(可能なら f. も)

400文字以上

キャッチフレーズと「a. 〜 f.」
このうち「PC」をより具体的に膨らませる。

くまにぃ

以上が大まかな目安になります。重要なのは「P」と「C」です。文字数が少ないESでも、最低限この2項目だけは伝え切るのがオススメです。

  • この記事を書いた人

くまにぃ

1983年福岡県育ち。人材×IT領域の経営者兼投資家。『就活・転職初心者の方、ビジネス力を上げたい方の難易度を下げる』をテーマに発信しています。【経歴】明治大学→学生起業→広告代理店(新卒)→採用コンサル起業→ITスタートアップ起業→一部上場企業へM&A→投資家【実績】年間約1万人参加の就活生向けセミナー実施

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