
この記事は元理系大学院生の学生さんに寄稿していただきました。これからインターンシップを控えている方の参考になれば幸いです。
今回は、私が経験したインターンシップのうちの一つを体験談としてお伝えします。なお、インターンシップには全て守秘義務が課せられているので、具体的な詳細については触れません。ちなみに、私は国立大学の現役理系大学院生で、これまで3社のインターンに参加した経験があります。
参加したインターンシップの経緯・概要
参加したのは大学2年生の終わりくらいのちょっと暇な時期に、大学の掲示板で偶然公募のポスターを見かけたのがきっかけです。官公庁のインターンシップだったので、普段我々が見られないような世界が覗けると思い、単純に興味本位で応募しました。期間は二週間、無給、交通費なし。
審査は書類審査のみでした。倍率は3倍くらいだったそうで、幸運にも審査を通過して参加することができました。お忙しい中、配属先の方々は非常に親切にしてくださり、とても良い環境でした。また、非常に刺激的な経験をさせていただき、今でも当時の経験から新たな発見をすることがあります。というよりは、今になって当時の経験の理解が深まってきたと言った方が正しいかもしれません。
インターンシップの内容
業務の体験が主でした。会議に参加して議事録を作る、記事の要約を作るなど実際の業務のお手伝いもしましたが、ほとんどは見学やインタビューなどの体験活動でした。
特に、私が配属になった部署は外部の方の出入りが激しい部署だったので、そういった方にインタビューを頻繁にしました。また、会議やシンポジウムのお手伝いなどの機会もあり、とても緊張したことを覚えています。
インターンで何が学べたか
まず、社会人が働いている風景を見られたことが刺激的だったと記憶しています。大学二年生当時、サークルとバイトと授業に漫然と取り組んでいた時期であり、またそういった社会経験に乏しかった自分にとって、「大人ってこうやって働いているんだなぁ」という感覚自体が極めて新鮮でした。また、飲み会の後も仕事に戻る姿を見て、社会の大変さを痛感するような場面も多々ありました。
次に、興味対象であった官公庁の内部を体験できたことも様々な点で興味深かったです。このインターンに参加後、公務員関連のニュースや、自分が配属になった組織が新聞などで報じられるたび「このニュースは過剰に公務員に対して否定的だな」など、これまで自分が気づかなかった、一つの立場から物事を眺めることの危険性を実感することができました。
他の立場になって考えることの重要性なんて頭では分かっていたつもりでしたが、全く何も分かっていなかったと気づけたことは大きな収穫でした。そのおかげで、例えば面接なら「この立場から見たらどんな人間を採用したいか」などの想像力がつき、その後の生活のあらゆる場面で役に立ったと感じています。
その他、私が配属になった部署は激務多忙であるにも関わらず、いわゆる公務員批判に対して「しょうがないよね」と寛容に受け入れていたことも印象に残っています。また、非常に能力の高い方が多く、数年後自分が同じレベルに辿り着くにはどうしたらよいかという目標として、その後の自分の大学生活の過ごし方に自然と影響していました。
また、研究者の方にお会いする機会に恵まれ、インタビューできたことも非常に良い点でした。自分の中で漠然としていた研究者のイメージが具体的になったこともそうですが、その人に「君は研究者には向いていない」と言われたことがとても印象に残っています。
当時、大学院に進学するか悩んでいた自分にとって、「君からは熱意を感じない。熱意がなければ良い研究はできない」といった言葉をもらい、自分が本当に興味対象として感じることはなんなのか、その方の言葉を常に念頭において探し続けました。結果、納得のいく分野が見つかり、現在充実した大学院生活を送っています。
二週間のインターンで何ができるか?
『日常』を経験できることが大きなメリットだと思います。短期でよくある説明会や見学会はいわば非日常で、実際の生の雰囲気を味わうには至らないと思いますし、日常的に接することで見えてくる、考え方や仕事の進め方といった普段のリアルな様子を体験できる点は魅力的です。
一方で、具体的な業務などを満足いくまで経験することは難しいと思います。二週間とはいえ土日を除き正味10日、初日は説明や顔合わせがメイン、最終日は報告や総括であることを考えると、おそらく『日常』に浸れるのは実質7、8日ぐらいととても短いです。
私の配属先では、部署の方々がカリキュラムを念入りに用意してくださっていたので非常に密度の高い体験ができましたが、そうではない部署に配属になった方の不満なども耳にしました。このような運の要素もありますが、希望を言えば対応してくれる場合もあるかと思うので、生産的に過ごせるように自ら働きかけるのも手です。
まとめ
学生のうちに、能力が高く仕事のできる社会人の方と毎日接せる機会は、非常に貴重で実りの多いものだと思います。私自身はその後の生活や進路選択に大きく影響を受けましたし、そういった意味でも早いうちに参加してみると学びの多い社会経験になるのではないでしょうか。書類審査のために志望動機をまとめたりするのも良い経験のひとつです。