
この記事は元理系大学院生の学生さんに寄稿していただきました。これからインターンシップを控えている方の参考になれば幸いです。
今回は、私が経験したインターンシップのうちの一つを体験談としてお伝えします。なお、インターンシップには全て守秘義務が課せられているので、具体的な詳細については触れません。ちなみに、私は国立大学の現役理系大学院生で、これまで3社のインターンに参加した経験があります。
参加したインターンシップの経緯・概要
インターンシップとして採用されたのは、大学3年生の11月頃です。前期にほとんどの単位を取り終わっていたために時間を持て余していて、また普通のバイトに少し飽きてきた頃だったので、長期のインターンに参加しようと考えました。
以前から興味があったプログラミング関係の業務に携わろうと何社か応募しましたが、『プログラミング経験が豊富な学生』という条件や週3日参加必須などの条件が満たせず、なかなか採用されませんでした。そんな中、私の条件を快諾して頂いたIT系スタートアップ企業にて採用して頂きました。
報酬は普通のバイトより少ないですが日当制。社員の方々は気さくで面倒見が良く、いろんな事を教えて頂きました。他のインターン生は営業系が多かったですが、私がジョインした際に数名在籍していました。最終的に一年半ほど参加していたことになります。
インターンシップの内容
社員の方のお手伝い、というよりは実際の業務を担いました。最初に先輩のインターン生から業務の手ほどきを受け、アプリの作成や管理、保守などを担当しました。営業系のインターンや社員の方が取ってきた案件の対応がメインです。他にも、いわゆる電話番、来客対応、郵便関連の雑務、テレアポ、サービスの開発など様々な業務を経験しました。
何が学べたか
まず、会社の仕組みについてよく分かったことが挙げられます。会社とは、突き詰めれば「お金を儲ける場所」であり、「お金を儲けること」が目的です。どうやってお金を稼ぐのかといえば、付加価値を与えればいい…なんてことは学校で習いましたし、経済学部や商学部の方々はもっと詳しい理論やケースモデルなどもご存じのことでしょう。
じゃあ、実際に会社で毎日何が起きているか予想がつきますか?例えば『営業とは案件を取ってくる仕事』ですが、実際の業務で具体的に何をするのか知らない学生が大多数だと思います。この「知ってはいるけど分かってない事」が明らかになることが非常に有意義だと私は感じました。営業のリスト作って、テレアポのスクリプトを暗記して、案件が取れた時の流れをモデルケースとして共有して…とか、非常に新鮮で学ぶことだらけでした。学ぶばかりでなく、当然アウトプットも求められます。
例えば、同業他社との違いや比較した優位性を30秒でわかりやすく説明するのって、鬼のように大変です。さらにそれを改善して、というPDCAサイクルも実践していかなければなりません。このような業務を通して、会社の仕組みや働くということについての理解が深まりました。
もちろん業務内容自体も非常に勉強になります。プログラミング初学者だった自分が、実際の運用に携われたのは本当に貴重な経験だったと思います。全く知らないことばかりの手探りの状態から、時には会社の本を貸して頂いて勉強したり、ミスがあって怒られたり、どうしても解決できない問題があったりと苦労も多かったですが、それらの1つ1つが非常によい学びとなりました。そういった経験によって、今では自力でウェブサービスを作ることも出来るようになりました。
まとめると、業務経験自体も非常によい勉強になりましたが、それらを通して『企業で働く』というイメージが明確に持てるようになったことが一番の収穫です。ある業務に携わることで、その関連分野の見方も分かり、自分が将来やりたいことがハッキリしたのも大きいです。
短期インターンとの違いは?
短期では、上に挙げたような実際の業務は経験できないことがほとんどです。雰囲気を掴むだけでは物足りないという方には間違いなくオススメです。他にも、やはり繰り返してやらないと分からないことや、長期間在籍することでわかることもあります。プロジェクトの始めから最後までの流れは、短期ではそうそう経験できないことです。
また、頭で理解できても、考え方として馴染むまで時間のかかる『コスト意識』とか、そういったビジネス感覚も(まだまだ未熟ですが)以前のんびりと学生をやっていた頃とは比べものにならないくらい磨かれたと思います。
また、人間関係も重要だと思います。短期のインターンでは、社員の方と話す機会はあっても、継続的に会うことは中々難しいでしょう。人間って、時間をかけて付き合わないと分からない部分が往々にしてあると思いますし、そもそも20も歳の離れた人と同じ場所で真剣に作業する機会は、通常の学生生活にはあまりないと思います。バイトはまたちょっと違いますし。
スタートアップならではのメリット・デメリットは?
まずメリットとして、業務の裁量が非常に大きいことが挙げられるでしょう。ベンチャーは基本的に人手不足です。「こんなこと自分1人でやっていいの!?」みたいな仕事も比較的やらせてもらえました。当然、責任感も伴いますが、それも含めてやりがいがあると思います。
他には、社員の方との距離が近いことが挙げられます。非常に面倒見のいい方で、起業の話、普段の仕事や趣味、経営とはどんなことをして何が大変なのかなど、非常に刺激的で勉強になりました。私の場合は社長とよく二人でランチに出たりしていたので、本当に色んな話をしていただいたと思います。
一方で、いわゆる福利厚生には満足いかないかもしれません。「この時間アルバイトしてれば○○円入ったのになー」と思わないことはないですが、その○○円を勉強代と考えて納得できるかどうかではないでしょうか。