
この記事は私が実際に海外で勤務されている方にヒアリングをおこなって作成しています。海外で働きたい就活生や転職者の方の参考になれば幸いです。
昨今の日本の学生について「内向き志向」という言葉を聞くこともありますが、一方で海外で仕事をしてみたいという志を持つ大学生も多いのではないでしょうか。ここでは、私が実際にフランスで仕事探しをするにあたり、考えておいたほうがよいと思うことを書いていこうと思います。
みなさんは、なぜ海外で仕事をしたいと思いますか。「英語が得意だから」「自分の専門分野では海外で仕事をするほうが将来性があるから」「なんとなくかっこいいから」「日本を出たいから」など、理由はさまざまだと思います。でも、実際に海外で働くということを、どのくらい具体的に考えられているでしょうか。
海外で仕事をするには、日本で就職した後海外の支店、研究所などに駐在員として派遣される場合、専門のエージェントを通じて日本にいながら海外での就職先を探す場合、また実際に海外での滞在を始めてから現地採用をめざす場合など、さまざまな方法があります。
一つめの方法を選ぶ場合、まずは海外勤務の可能性がある企業への日本での就職が当然必要となってきます。就活の際、その企業に勤務した場合、海外転勤の可能性がどのくらいあるのか、どの国へ派遣される可能性があるのか、といったことを事前にしっかり調べておく必要があります。といっても入社してすぐに海外赴任になるとは限りませんし、必ずしも異動を希望する国に派遣されるとも限りません。運よく希望する国に異動になっても、どのくらいの期間その国に滞在することになるのか自分で決められない、ということも考慮する必要があります。その一方で、あくまでも日本の企業から派遣されて行くので現地採用の場合と異なり、就労ビザの取得や住居探しに苦労する、ということは少ないというメリットがあります。何より現地到着後、日本の企業の社員としてすぐに仕事を始められるという安心感があります。
一方現地採用をめざす場合、駐在員として日本から派遣される場合と異なり、まずは希望の国に住むことから始めなければなりません。国によって異なるかと思いますが、3ヶ月以上の滞在にはビザが必要になってくることが多いです。私のまわりにもまずは学生ビザで滞在資格を得た後、現地の大学や大学院でディプロムを取得後、そのまま就職をめざしている人がいます。また、日本とワーキングホリデーの協定がある国であればワーホリビザで入国後、現地でのアルバイトや人脈を通じて就職にたどり着く、ということも不可能ではないようです。いずれの場合でもまず現地の企業に採用が決定した後、就労ビザの申請をしなければなりません。私の住むフランスでは、就労ビザの取得には時間がかかる上、採用決定していてもビザが下りず帰国を余儀なくされる、という話も聞きます。外国人労働者の受け入れ(=就労ビザの発行数)に関しては、その時の政府の方針が大きく影響するようです。また、就労ビザ申請のための事務手続きの煩雑さをきらい、就労ビザを必要とする外国人の採用自体をためらう企業もあります。その意味でも、現地採用をめざす場合限られた時間で就職先を見つけ、就労ビザを取得しなければならないので、ある程度の運やコネも必要になってくるかと思います。
海外で働くと一口に言っても、欧米かアジアか、また国によっても経済状況や外国人労働者の受け入れ状況は大きく異なるため、むずかしいかどうか一概にはいえません。また私のまわりで仕事をしている在仏外国人のなかには、コネで仕事先を見つけたという人も少なからずいます。何より、企業へのアプローチ方法、面接、採用にいたるまでのプロセスも国によって大きく違ってくると思います。まずはどの国・言語圏で仕事をしたいのか、そのためにどの方法を選択するのが近道なのか、しっかり情報収集することから始める必要があると思います。